千照館道場生の皆さん、段級試験お疲れさまでした。指導部では毎度のことながら試験当日と翌日に何時間もかけて入念に採点を行い、証書をお渡しする準備をしています。
試験当日にもお話しましたが、今回の段級試験ではまた一歩道場として前進した姿をみることができました。「初試験。とにかく型に則り深く踏む」「久々の試験だけど新しい気持ちで一から」「あまり丹練できていなかったけれど今できることを」「怪我上がりだけれどどこまでできるか挑戦」などなど、皆さんの心の声が踏み姿によく現れていました。
人は何歳になっても言い訳をしたくなるものです。今回の試験では上手くできない言い訳を感じられなかった事、これは受験者皆さんの「丹足道八ヶ条」への向き合いの成果ではないかと思いました。そういう意味で我々は「成長」していると言えます。
ところで今回より2級以上の採点基準に一部変更がありますので、ここでお伝えしておきます。3級以下については変更ありませんが、良い機会なので今一度併せて説明します。
3級まではとにかく「丹足型」を体現することと「ファッグッファ」の習熟です。「自分がどれだけちゃんと踏めているか」が問われます。相手はさておき自分の踏み姿だけが問われるので、ちゃんと型を実践できればどなたでも3級は合格できます。
一方、2級以上になると、これに加え「相手の踏まれ心地」という要素が加わります。この採点基準が少し変わりました。
そもそもの話となりますが、踏まれ心地というものを「見て採点」するのは困難なものです。しかも段級試験という場においては多人数同時採点です。そんな中でも客観的公平性を高めていくため、採点で重視したのが「踏み姿の美しさ」です。なぜなら本当に気持ちよい踏まれ心地は、美しい踏み姿から生まれるものですから。
「踏み姿の美しさ」は具体的に二つの項目にわかれます。つまり「力の伝え方」と「身体の使い方」です。さらに「力の伝え方」は“リズム”と“圧のコントロール”を見ます。「身体の使い方」は動きの“連動性”と”脱力感”を見ます。この4つの項目で総合的な美しさを量るのです。さらに踏む相手が変わった時の”対応力”も採点項目に入れました。丹足型も採点項目に入れ、これらの合計点から審査を行いました。
実際に皆さんそれぞれがどのような点数であったか、今月の日曜稽古で伝えますが、ここで採点基準を公開したのは、今後の稽古と丹錬に活かしてもらうためです。そして「美しい踏み姿」を模索してもらうためです。
「リズム」「圧のコントロール」、動きの「連動性」「脱力感」、これらは普段の稽古でよほど注意深く磨かなくては身につくものではありません。さらに相手が変わった時の「対応力」を磨くには、踏みなれた道場仲間だけでなく、友人などできるだけ多種多様な身体を丹足しなければなりません。特に2級以上を目指す人には、きっとこのような取り組みをしてほしいということです。我々は自己満足な丹足求道をしたいのではなく、「丹足を社会の役に立てる」という千照館理念、ミッションがあるのです。
今回からこのような変更を加えましたので自ずと採点基準は厳しくなっていますし、今までの級よりも下がることもありえます。再々採点基準を変更するのは指導部の力不足ではありますが、まだ若い道場がより本質的な丹足求道へと進むためとご理解いただき、道場生の皆さんにおかれてもさらなる「改善」を重ねていただきたい、そのように願っています。
令和5年11月6日
千照館師範 三宅弘晃
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